「恋愛適齢期」 ★★☆☆☆

映画の日なので、「恋愛適齢期」を観て来た。
この映画を既に見ていた妹が「つまらなかった」と評していたのと、オトナ同士の恋、という、いささか軽薄で月並みなテーマだったので、大した期待はしていなかったのだが、途中まではその軽妙さが結構楽しめた。
それというのもまず、30以下の女は決して相手にしないプレイボーイを演じているジャック・ニコルソンと、相変わらずウーマンリブ的な匂いをぷんぷん放っているダイアン・キートンという組み合わせの妙によるものなのだろう。
出会った当初はお互いに最悪の印象を持ちながらも、一緒の時間を過ごしている間にお互いを好ましく思い始めるという、なんとも平凡な筋書きといえばそうなのだが、老年に足を突っ込んでいる男女が同じ屋根の下にいつつも、パソコンのチャットでキュートなやり取りをしているのなどは微笑ましいとしか言いようが無い。
でもその洒脱な軽妙さも映画が中盤に差し掛かる頃から段々怪しくなってくるのが残念だった。
特にダイアン・キートン最後通牒を突き付けられたような格好になったニコルソンが、これまで自分と付き合ってきた女性を訪ね歩くことで自分の人生を見つめ直すというくだりなどは、「ハイフィデリティ」そのままなので、ちょっと呆れてしまった。
それに過去のGFたちを訪ね歩いて回るなんて、20代後半やそこらの男がやるからこそまだかわいげがあるので、60を過ぎたプレイボーイがそんなことをやるなんて、気持ち悪いとしか言いようが無く、効果も芳しくない。

と、色々難点はあるものの、前半はテンポもいいし結構楽しめる。
大体、ニコルソンがキートンの娘と最初は付き合っているなんて面白すぎ。
それもこれもみんな、ジャック・ニコルソンという怪物俳優の存在があってこそのことだと思うのだけれど。
因みにダイアン・キートンはその年齢にも関わらず、フルヌードの場面に果敢に挑んでいて吃驚した。
別にそこまでしなくても!?と思わないことも無い。
第一、フルヌードを見せなくても充分済ませることの出来る場面ではないか。
まあ、30以上の女性の裸を見たことがないというニコルソンのショックを見せるには都合の良い、愉快な場面ではあるのだけれど、それにしたって今や大女優の彼女にそこまで?という気がする。

エンディングはダイアン・キートン演じる脚本家の書くシナリオ同様、結構なご都合主義だが、それはそれで好ましいといえるのかもしれない。
第一、この映画全体がそもそも典型的な恋愛物という体裁を踏襲しているのだから、こんなものか。
キートンとニコルソンなくしてはありえなかった映画。
キートンに横恋慕?するキアヌ・リーブスは、別にキアヌでなくてもいいような気がした。要するに、スウィートな感じの二枚目俳優でありさえすれば、という感じで。
マトリックス」に出た後がこれかと思うと、首を傾げたくなってしまう。