「ピンクパンサー4」★★★★★

一日家にいてビデオを観まくった。
まずは「ピンクパンサー4」。
ここしばらくピンクパンサー・シリーズに、そして主演のピーター・セラーズにはまりまくっていて、機会がある毎に借りてきてはゲラゲラ笑いながら見ている。
因みに今回の話は、フランスのマフィアがNYにかつての勢力を未だに維持しているということを証明するために、クルーゾー警部を殺そうとする。マフィアはしょっぱなからクルーゾーに直接爆弾を渡すのに成功するが、どういうわけかクルーゾーは死なない。ピンクパンサーの中では誰一人として死なないと言うのが、愉快な点の一つなのだ。
ところでマフィアのクルーゾー暗殺はその後も続き、ついに成功したかのように見えるが、クルーゾーの代わりに死んだのは実は有名な女装強盗だった。
その後クルーゾーは自分が死んだと信じられて国葬(!)されているのをいいことに、早速暗殺者を割り出そうとする。
この間も相変わらずドタバタ劇が続き、特にクルーゾーとその召使ケイトーの戦いは爆笑もの。
クルーゾーが中国系のケイトーに向かっていちいち「お前の黄色い肌」とか「その黄色い脳みそを絞って考えろ!」などという暴言を吐く場面などは、ポリティカリー・コレクトな発言にまみれたアメリカには決して考えつかない冗談なのだろう。中世の昔から王様が小人や道化をはべらせていたヨーロッパのユーモアセンスはやはり激しい。
因みに前作でクルーゾーを憎むあまり殺そうとまでして狂人になってしまったドレフュス元警部は無事?精神病院から出てくるが、クルーゾーを見るや、またまた殺そうとしてしまう。あれは多分、また病院に逆戻りしたんだろうな。

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「海を見る」フランソワ・オゾン監督 ★★★★☆

「海を見る」と「サマードレス」という短編の入ったビデオを観た。
前者は全篇気色悪いテンションに満ちた作品で、若い母親が海辺の家で赤ん坊と二人、夫の留守を待っているところに、バックパッカーの女の子がやってきて、庭にテントを晴らせて欲しいと言うところから物語は始まる。
バックパッカーがやって来る前から、母親は赤ん坊と二人きりの毎日でストレスいっぱいになっており、今にも叫び出しそうな緊張感に満ちていると言ういやな雰囲気。なにしろ、家に二人しかいないので、買い物に行くにも赤ん坊を連れて行かねばならないし、朝は赤ん坊の泣き声で目を覚ますのだ。
そんなところへやって来たバックパッカーの女の子。
最初彼女が食事の折に文字通り皿まで嘗め回したりするのは性的なことが始まる予兆なのだと思い、さすがにオゾンもこの頃はまだ伏線の張り方が月並みだなあと思ったが、考えが甘かった。全然そんなんじゃなかったのだ。

この作品でもオゾンのほかの作品でよく見られるように、夫、即ち「父親」は家を留守にしているのだが、この作品ではむしろ母性に焦点が当てられていて、母親が女性にイコールになることを許さない眼差しがある。
つまり、母親は性欲を感じたり、他に恋人を作ったりしてはいけないので、夫の不在に寂しさを覚えて一時の快楽を求めてしまった若い母親には、そういう意味では後に罰が下るようになっている。

しかし、バックパッカーを演じているマリナ・ドゥ・ヴァンは「ホームドラマ」でも変わった娘の役をやっていたが、ほんとうにこういう役をやらせたら気持ち悪いほどうまい。特に彼女の物を見るような平坦な眼差しは、次の瞬間になにをしでかすか分からないという恐怖を感じさせるのだ。彼女なしでは、この作品のテンションはここまで張り詰めなかったのではないだろうか。


それと、トリュフォーの「日曜日が待ち遠しい」も観た。ほんとに映画三昧の一日だ。
そして映画のあとは、ずっと選挙番組を見ている。