天才悪魔フー・マンチュー  ★★★★☆

またもや我が愛するピーター・セラーズのどたばたコメディ。
セラーズが天才悪魔フー・マンチューと彼の好敵手であるネーランド・スミスの一人二役を演じているのだが、この二人がまた対照的な二人だ。
片やオリエンタル・マフィアの元締めとも思われる悪の天才にして不老不死の薬を飲んで168歳にもなってしまったフー・マンチュー、そしてもう一方はそのフー・マンチュー率いるサイ・ファイという集団に詳しい唯一の警察官。
そのネーランドの元にFBIが協力を求めにやってくるのだが、当のネーランドはフー・マンチューに捕まって拷問を受けて以来、すっかりやる気を失って田舎に引っ込んでしまっていた。しかもかなりの奇行が目立つようになっており、どこへ行くにも芝刈り機に寄りかかって歩かずにはいられないという始末。
果たして彼らはフー・マンチューのたくらみを阻止できるのか?

フーとネーランドを二人合わせてようやく普段のピーター・セラーズの面白さを発揮してるところがやや不満だが、その控えめな愉快さがポイントと言えばポイントか。
フー・マンチュー従える中国人たちの描き方も「ピンクパンサー」シリーズのそれに比べるとさらっとしていて、何か物足りないような気がするが、考えてみればあっちが行き過ぎのような気もしないでもない。
それに、最後のどんでん返しが半端じゃないインパクトなのだ。フー・マンチューとネーランドが和解するところまではまだしもという感じだが(なにしろ良く似た者同士と本人が言っている。陰と陽という違いだけで)、まさかあんなことになろうとは。いや、脱帽です。