Stuck On You (ふたりにクギづけ)  ★★★☆☆

Ura2005-02-15


監・脚・製:ボビー&ピーター・ファレリー
出演:マット・デイモン/グレッグ・ギニア/エヴァ・メンデス/シェール


なんとあの悪名高きファレリー兄弟が今度は結合双生児のコメディを撮ってしまった。
前作「愛しのローズマリー」でなまぬるいブラック・コメディを披露し、ああ、彼らの毒舌もここまでかと思ったのもつかの間、やってくれる、やってくれる。
なにせ結合双生児のウォルトとボブがハリウッドに行き、(ウォルトが)俳優を目指すというのだから奇想天外としか言いようが無い。
しかしふたりを取り囲む環境は決して甘くない。
何とかウォルトが俳優としての仕事にありついたかと思えば、早速マスコミに結合双生児であることがばれてしまい、スポンサーはこぞって撤退。
そしてボブはというと、三年間メル友だったメイに対して、自分が結合双生児であることを打ち明けられずにいる。


この「結合双生児」というきわどいアイディアをして、いかに観客を笑わせることが出来るかというのは、まさにファレリー兄弟の腕の見せ所である。
多くの場合、人々は障害に対して偏見や先入観に満ちたまなざしを向けるものだし、いわんやアメリカといえば、差別アレルギーの巣みたいな国なのである。
しかしこの映画ではマット・デイモンとグレッグ・ギニアが個性的で魅力的な双子を演じているため、きわどい素材を扱っているにもかかわらず、説教臭いトーンとは無縁だし、まったく暗さを感じさせない、本当のドタバタコメディになっている。
この映画を観ていて、グレッグ・ギニアが出ているからだろうか、「ベティ・サイズモア」を思い出してしまった。


ラストは予想通り、ハートウォーミングなハッピーエンディングで締めくくられるのだが、その終わり方というのがまた皮肉に満ちている。
50%の生死のチャンスをかけて分離手術を行ったにも関わらず、実際にお互いと離れてみると、何をするにもまったくバランスが取れない。
昨日まではふたりで簡単に出来ていたことが、今日からは一人でうまく出来ないという体たらくなのだ。
それならいっそ、元通りだったほうが、と思うのも当然ではないだろうか。


しかし、映画のスクリーンでシェールを久しぶりに観たが、相変わらず怖かった。
「MIB」ではエイリアンとして紹介される彼女だが、本当にエイリアンのような気がする。その化粧といい、髪型といい、ファッションセンスといい、どう見ても地球の規格からは外れている。
でもそんな彼女がチープなTVのソープオペラしか仕事が来なくてテンパリまくっているというのは、いかにもありそうで面白かった。
あと個人的に笑えたのは、どういうわけかぶよぶよのマット・デイモンのたるんだ体。
他人事ながら、やば!と思いました。