真夜中の弥次さん喜多さん ★★★☆☆


東海道中膝栗毛」を下敷きにしたマンガを 宮藤官九郎脚本・監督で映画化したもの。
主役の二人に長瀬智也中村七之助をもってきたことで十中八九成功が決まったようなものなのだが、途中から突然長く感じ始める。
最初の方はこれでもかというくらい笑いを詰め込み飛ばしまくるのだが、後半になるといやに幻想的な展開になってしまい、テンポも必然的にスローになるため、退屈とまでは行かないものの、お尻をもぞもぞさせながら見ることになってしまった。
基本的には宮藤官九郎脚本は面白い。
相変わらず見慣れた俳優の面々がずらりと揃い、ツボを心得た爆笑場面が続く。
しかし、以前「タイガー&ドラゴン」の二時間ドラマを観ている時にも思ったことなのだが、これはほんとうに面白いのだろうか?わたしたちはもしかして反射的に笑っているだけではないのだろうか?
考えすぎかもしれないが、これだけ「クドカンドラマ」に慣らされてしまっているからには、それくらい穿ってみるべきではないだろうかと思う。
この映画の評価は、そういうこともすっかり込みにして考えるべきだろう。安心しきって観ることの出来る作品というのは居心地が良いままに楽しめるが、その分失っているものも多いような気がする。
とはいえ、七之助のコギャル姿や髭を生やした花魁姿の松尾スズキはしっかり満喫してしまったのだが。