パリの女は産んでいる

ここ数年、フランス、特にパリでは子供を産む女性が増えているという。
しかも彼女たちは皆が皆家庭を持っているというわけではない。
ある人はシングルマザーとなることを選択し、ある人は普通の結婚生活の中で子供を産み、ある人は出産後もパートナーとは結婚しないという選択をする。
しかしひとつ言えるのは、殆どの女性は仕事を持ち、仕事と子育ての両立をそれほど深刻には考えてないということだ。
日本人女性の殆どがそうであるように、子育てと仕事の間で選択を迫られるということは、フランス、特にパリでは滅多に無い。
その理由は、すべてフランスにおける社会保障制度にある。

わたしはおそらく、普通の人よりはフランスという国を知っているし、フランス人の友人もたくさんいるので、以前から出産するなら是非ともフランスと勝手に決めていた。
そして、本書を読んだことによって、その思いは更に強まった。
別にフランスのすべてが良いとは思わないし、フランスよりも日本が優れている点は山ほどある。
しかし、こと女性の出産事情に関しては、日本はことごとく遅れているとしか言いようが無い。
どれくらい日本が女性の子育てに関するプレッシャーを強いられているかということは、本書を読むと良くわかる。
そりゃ、子供を産みたくないという女性がたくさんいるのも頷くほか無いではないか。無論、わたしも含めて。

政府において、日本の出産率を上げたいと思う方々は、本書を読むと、なんらかのヒントが見つかるのではないかと思う。
なにしろ、子供を産みたくなるような社会が出来上がらない限りは、働いている女性はこの先も出産を先送りにするだろうなと思う次第。



パリの女は産んでいる―“恋愛大国フランス”に子供が増えた理由

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ナ・バ・テア (中公文庫)

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