そして、一粒のひかり

Ura2006-02-14


監督:ジョシュア・マーストン
出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェニー・パオラ・ヴェガ、ジョン・アレックス・トロ



あまりに過酷な現実を突きつけられた時、観客はただ口を噤み、見守ることしか出来ないのだと思い知る。
この映画にしても、18歳であるマリアが妊娠していながら恋人と別れ、家族を養うために麻薬の運び人をすることにした経緯について、何も言うことが出来ないと思うだけだ。
自分の胃袋の中にラテックスで包んだコカインを詰めてアメリカへ渡る。
文字通り、マリアは命をかけている。
しかし、彼女をそこまで駆り立てるものはなんだろう。
知り合ったばかりの男に、売人の仕事ならある、と持ちかけられたときは、違法な仕事への尻込みがあったはずなのに、ずるずる断らずにいたら仕事をすることになっていた、というのが本当のところじゃないのだろうか。

この映画はおそらく、コロンビアで起こっている凄惨な状況を、とりあえず見られる形にして提示してくれたものなのだろうと思う。
18歳の女の子が、自分が死ぬかもしれない、逮捕されるかもしれないという危険を冒してまで麻薬を次々飲み込んだという状況を我々は目撃し、知るべきなのだ。