ディパーティッド

スコセッシ監督作品の「ディパーティッド」を観て来た。
言わずと知れた、香港映画の「インファナル・アフェア」のリメイクだが、そういう意味でも本作はあまりスコセッシらしくないと言えるだろう。
彼の真骨頂といえば、「グッド・フェローズ」や「レイジング・ブル」、「タクシー・ドライバー」のような、怒りを抱えた若者を描いたものが多いが、この作品はどちらかというと物語の展開がすべてのキーであり、その分当然のことながら、人物の抱える怒りや理不尽なものへの苛立への描写は割愛されてしまっているように思う。


とはいえ、今回も主人公を演じるのはレオナルド・ディカプリオで、彼は冒頭からすばらしい表現を続出させてくれる。
まず、州警察のエリートセクションの試験に天才的な結果を残して合格しながらも、身内に犯罪者が多いという理由で上司に罵倒される場面だが、罵られているときに見せる怒りと闘争心に駆られた顔は、どこからどう見ても天才としか言いようがない。
この映画はディカプリオと、もう一人の怪優であるジャック・ニコルソンが支えていると言っても過言ではないだろう。
勿論、話自体はリメイクということもあってこなれているし、エンターテインメントとしては申し分ない出来だと思う。
スコセッシ作品かと思えば物足りないような気がしないでもないが、それでも彼の絶対に誤らない職人的な仕事はすばらしいと思う。
まあ、オリジナルを観てないので比較できないのが残念だが、こっちもトニー・レオンアンディ・ラウの主演作品なので、そのうち観てもいいかな、と思う。