Ura2004-05-13

映画の日
スクール・オブ・ロック」★★★★★

子供・動物・戦争映画は大嫌いなのだが、だいすきなジャック・ブラックが主演しているので、もうこれは観ずにはおれないという感じで行ってきた。
内容としては、ロックを目指していたブラックが家賃を払うために偽教師に扮し、私立学校で働き始めるのだが、クラスの子供達が楽器や歌に長けているのを知るにつけ、子供達と一緒にバンドを組み、コンテスト賞金を狙おうと画策するというもの。
容易に予想されるように、当初は賞金目当てでバンドを結成し練習していた偽教師ブラックが徐々に教師らしくなり、子供達の側にも彼に対する愛情が育っていく。そして、途中でブラックが偽教師だということが発覚してしまうところや、その後子供達が自発的にコンテストに出場しようとすることなども、ステレオタイプと言えばそうだ。
学園ものによくありがちなように、学校の成績が良いだけの生徒達がロックに目覚めていったり、ルックスの冴えない子がキーボードプレーヤーとして活躍したりもする。でもそんな月並みな物語をベースにしつつも、ブラックが子供達にロックに対する情熱の火を吹き込み、小学生達がいっちょ前に学校や親に対してパンクな姿勢を見せ始めるところなどは微笑ましすぎる。

とは言え、この映画の目玉はなんと言ってもジャック・ブラックなので、彼が太めの体を全身揺すりながら歌うところや、百面相をやっているとしか思えほどくるくる変わる表情などがいちばんの見せ場なのだ。
映画の冒頭でバンドのリードボーカルそっちのけで、ギタリストのブラックがジミヘンばりに寝転びつつギターをかき鳴らすところや、ステージからダイブすれば観客に避けられて地面に落ちてしまうところからして爆笑を誘う。そしてそのあとはもう、終始笑いっぱなしという感じなのだ。

因みにいちばん良かったのは、やはりクライマックスのコンテストの場面で、映画の冒頭では客席にダイブして地面に落ちてしまったブラックが、今度はしっかりと受け止めてもらえたところだろうか。
これはわたしも日本の映画館では初めての経験だったのだが、その場面では映画館内で実際に拍手が沸きあがったほど盛り上がったし、わたしもその時知らない間に拍手していたのが自分でも驚きだった。
しかし、親の敷いたレールの上を歩くことしか知らなかった子供達が、自分達の才能や知恵を駆使して、自分達のやりたいようにしていくのを見るのは痛快だなあ。10歳のギタリストの子が書いた歌にもあるように、催眠術にかかったようにぼんやりしていた子供達が、映画の最後にはなんとラモーンズのTシャツを着て、楽しげに演奏しているのだ。観ているこちらまでにやついてしまうではないか。
いや、でもしかし、この映画はなんと言ってもやっっぱり、最終的にはジャック・ブラックであることに間違いない。このステレオタイプとも言える枠を持った作品は、彼がいてこそ成り立っているようなところが多分にあるというものだ。この作品を以ってようやく、彼の良さが日本でも多数派に受け入れられるのじゃないかと思う。
そして、この映画を観てジャック・ブラックなる俳優を気にいった方は、彼の真骨頂とも言える邪悪っぷりを堪能すべく、「ハイ・フィデリティ」を観ると、更に彼のことをすきになると思われる。
因みにこの映画。わたしはDVDを持っています。はい。