Secret Window ★★★☆☆

Ura2004-11-09



ジョニー・デップ主演の「シークレット・ウィンドウ」を観てきた。
監督デイヴィッド・コープ、原作スティーヴン・キング

ある日、小説家モート・レイニーのもとに見知らぬ男がやって来て、自分の小説を盗作したと言い張る。
モートのほうにはまったく見に覚えがなかったが、男は何度も戻ってきては脅迫まがいのことを繰り返し、飼い犬を殺したり、離婚協議中の妻の家に火を放ったりする。
モートはなんとか男の狂気を止めようと、自分が盗作していないことを証明しようとするが、それがことごとく男の手によって邪魔される。



映画は途中までは結構面白かった。
サスペンス・スリラーでありつつ、細かいところで小さな笑いも盛り込んであって、更に恐怖を煽り立てるような作りになっているのが良かった。
特にジョニー演じるモートの駄目さ加減が愛嬌たっぷりでいい。
売れっ子小説家であるにも関わらず、駄文しかひねり出せず、アイディアも浮かばず、飼い犬に向かって「Any suggestion? (なにかアイディアある?)」などと聞いたりするのだ。
こういうのが通用するのもジョニー・デップだからこそ、という気はするが、なにしろ昼寝してばかりいたりすることや、常にボサボサの髪の毛に破れた古いガウン姿っていうのも微妙にリアルでいい。
突然モートの目の前に現れて、モートが自分の小説を盗んだと糾弾する見知らぬ男を演じるジョン・タトゥーロも気持ち悪くて素晴らしかった。
個人的には彼の南部訛でやけにゆっくりした話し方が更に気持ち悪さを増長させていて、ほんとうにいやだった。
ほんとうに怖い人というのは、結構丁寧でゆっくりした話し方をするものなのだ。
そして黒い山高帽をかぶっているのも、それだけが非日常を象徴しているようでうまいと思った。


ところが、物語が佳境に入ってくると、途端に話の展開も映像も両方ぐだぐだになってくる。
サスペンスなのでオチを言ってしまうと面白くないのでいちいち言わないが、このオチというのも月並みだし、それを固めるべき根拠説明もうまくいってないように思う。
ジョニー・デップが出演しているからと、過大な期待をしていったところ、すっかり裏切られてしまった。がっかりだ。
でも一つだけ言えるのは、スリラーにありがちだが、主人公のアップショットが多いので、ジョニーの魅力はたっぷり満喫することが出来る。
でも物語が進めば進むほど、それだけという感じになっていくのが物悲しい。
凡作と言うほかないのじゃないか。