60年代パリの雰囲気

Ura2004-12-22



サガンの「すばらしい雲」を読んでいる。
サガンの本は中学生とか高校生の頃、死ぬほど読んだ記憶があるのだが、本人が逝去されたことをきっかけにまた読み返そうと思って色々調べてみると、なんと彼女の殆どの本が絶版になっている。
その昔読んだ本が家のどこかにごっそりあるに違いないのだが、どうしても見つからないので、とりあえず、この本は古本屋で購入。


先日、友人と会った折にサガンがなぜ読まれなくなったのか、その作品がなぜ古くなってしまったのかということについて話したのだが、確かに今時間を経て読んでみると、彼女の作風は現代的とは言いがたいかもしれない。
というのは、彼女がもっとも活発に活動していた60年代の退廃的な雰囲気というのは、今では「退廃」や「自由」という言葉では呼ばれない別のものに完全に取って代られているのだ。
言い換えると、当時人々の行動の根拠となっていた思想や美学などということが、現在では完全に死滅したということなのかもしれない。

とは言え、個人的には、サガンは今読んでも面白い作家だと思う。
この人の最高傑作が処女作の「悲しみよ、こんにちは」であることには誰もが異論を持たないだろうと思うが、それ以外の小説も読ませることに違いはない。
どっちにしても、これから何作も読み返して、色々考えてみようと思う。
60年代パリに耽溺する年末なんて、ちょっといいじゃないですか。去年の末はパリに行き損ねたことだし。
って、今年も行き損ねたんだった。

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