Auggie Wrne’s Christmas Story


ポール・オースターのクリスマスストーリーである本書を読んだ。
物語はNew York Timesからクリスマスストーリーの執筆を依頼された作家の葛藤から始まるのだが、クリスマスストーリーというのはそれだけ名作が多いため、書き辛いもののようだ。
とは言え、作家は普段からよく行くシガーストアの店員であるオジー(本人の希望によって偽名らしい)から最適なクリスマスストーリーを聞き出し、それを彼が話したように執筆することにする。
語られる物語の内容を話してしまうと面白くないので、ここでは割愛するが、それはクリスマススピリッツに似つかわしく、愛と奉仕の精神に満ちた素敵なものだった。

この本も短い物語ながら、全篇にオースターらしさが詰め込まれていて、ついすらすら読んでしまう。
それはカポーティーのともディケンスのクリスマスストーリーともまったく違うタイプの物語だが、それはそれとしてちゃんとクリスマスらしいものに仕上がっているのがうまい。というか、小手先のうまさなどどうでもいいとさえ思えるチャーミングな本なのだ。


Auggie Wren's Christmas Story

Auggie Wren's Christmas Story