馴らされてしまう僕ら

Ura2005-01-09



宮藤官九郎脚本の「タイガー&ドラゴン」を観た。
相変わらず笑いどころをきっちり心得た、それもばかばかしい笑いに徹した素敵な番組だった。
とはいえ、あとでふと思ったのだが、これはクドカンが面白いわけではなく、わたし達の笑いの感覚が彼によって徐々に、しかし確実に飼いならされてるのではあるまいか。

木更津キャッツアイ」の「ぶっさん」を髣髴させる、大声で、しかも随分と汚い罵詈雑言を張り上げる岡田准一といい、見慣れた脇を固める俳優たちといい、目新しいものよりも見慣れたもののほうが目に付くあたり、単にわたしのうがち過ぎというわけじゃないように思える。
例えば、とんこつスープのラーメンばかり食べ過ぎて、昔ながらの味噌ラーメンを食べたときに物足りなく思ったり。
例えば、アメリカ的ポリティカリー・コレクトネスと偽善と譲歩とリメイクに満ち満ちたアメリカ映画を観て辟易するように。
感覚ってやっぱり麻痺するものだなあ、と、ふと思った次第。

とは言え、宮藤官九郎が注目に値する脚本家ということに変わりないわけです。
中学一年の頃に親が企てた無理心中から一人だけ生き残ってしまった上、長じてはヤクザになったが、ある日自分が取立てを担当している債権者の落語に感動してしまう役を長瀬智也にしたというのも良かった。
個人的には岡田よりも長瀬智也のほうが好演していたと思うのは、寡黙ででかい長瀬の横でチマチマしたキャラを発揮している岡田が実際以上に小さく見えたせいもあるのかもしれない。
勿論それはそれでかわいらしいし、二人が並ぶことによって生まれるコントラストの妙が話を更に面白くしていることは間違いないと思うのだが。
まあ、要するに長瀬の顔のほうがすきってことです。多分。





木更津キャッツアイ 第1巻 [DVD]

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