スーパーサイズ・ミー  ★★★★★

Ura2005-01-21


監督・出演 モーガン・スパーロック

監督のモーガン・スパーロックが、マクドナルドで3食1ヶ月食べ続けたらどうなるかという、自らが被験者となった人体実験ドキュメンタリー。
ルールとしては、
マクドナルドで売っているものしか口に入れてはならない。(水も含む)
スーパーサイズを勧められたら拒まない。
すべてのメニューを1ヶ月のうちに制覇する。
などなど。
1ヶ月毎日マクドナルドで食事するというのは、予想以上に過酷で体に害があることだったようで、実験前、理想的な健康体だったモーガンだが、実験開始から1週間後には体重が4キロ増え、コレステロール値が跳ね上がり、2週間も経つと、肝臓がフォアグラのような脂肪肝すれすれの状態にまでなってしまった。

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マクドナルドで3食1ヶ月食べ続けたら一体どういうことになるのか?

このアイディアがまず奇抜で面白い。
マクドナルドで毎日食事するなど、考えるだけでも気色悪いが、結果は予想を遥かに超えた酷さだった。
その結果たるや、医者をして、まさかマクドナルド・ダイエットでアルコール中毒と同じような結果、つまり肝機能障害になるとは予想も出来なかったよ、と言わせたほど。
実際、この実験が終わったからと言って、肝臓の機能が普通通りになるとは保証できないとまで言われたのだ。
それほどマクドナルドの商品は人体に有害なものなのだ。
そしてこの映画はこのマック・アタック実験のみに終わるものではない。監督の目はアメリカの社会問題である肥満問題とアメリカ人の一般的な食生活にまで向けられ、一体なぜアメリカ成人の40%までが肥満と呼ばれるようにまでなったのかということに焦点を当てていく。


この作品はアメリカの社会問題をエンターテイメントの形式で社会に提示して見せたということですばらしい作品だと思う。
ところがその一方、この映画はマイケル・ムーアの作品によく似ている。
監督の語り口調といい、アニメを盛り込む手法など、はっきり言って酷似しているというほどだ。
とは言え、これは「スーパーサイズ・ミー」がマイケル・ムーア作品の亜流と言うよりは、ムーアが「エンターテイニング・ドキュメンタリー」という一つの映画ジャンルを確立したということなのだと思う。
その意味で言えば、映画界においてマイケル・ムーアの果たした役割はほんとうに大きいと言うしかない。


しかしこの映画を観ていて、ほんとうに胸が悪くなった。
普段ファーストフードを殆ど食べないわたしでも、自分の食生活を振りかえってしまったほどで、映画に持っていった飲み物がヘルシア緑茶でよかったよ、と思ってしまった。
そして日本の現状もあまり楽観できないよとも。
幸いなことに日本人はアメリカ人のように外側に肉がつかないが、インスタント食品を食べまくっている若者たちの内臓にはおそらくしっかり脂肪がつき、コレステロール値だって、アメリカ人とそれほど変わらないほど高いと思うのだ。
一見痩せている女の子達も、実は隠れ肥満の子が多いというのは、まったくのデマではないのですよ。
筋肉がついていなければ、体の表面にあるのはすべて贅肉ということ。つまり体脂肪は結構高いはずなのです。
まともな体脂肪率をキープしましょう。