作家としての伊丹十三

Ura2005-03-09



伊丹十三のエッセイを二冊読了。
「ヨーロッパ退屈日記」

ヨーロッパ退屈日記 (文春文庫 131-3)

ヨーロッパ退屈日記 (文春文庫 131-3)

「女たちよ!」

女たちよ! (新潮文庫)

女たちよ! (新潮文庫)



前者は若き日の氏がヨーロッパに滞在していた頃の話が多く、日本人が英語(イギリス語と言うべきか。氏はアメリカ語を軽蔑しているのだ。アメリカ語しか話せなくてスミマセン)を正しく発音するためのコツや、日本でしばしば見られる「炒めうどん」ではない本物のスパゲッティの作り方などがずらずらと書いてある。
本物のスパゲッティなるものなど、昨今では珍しくもなんともないし、日本でもちゃんとした店に行けばイタリアの店と同じくらい美味いものを食べることも可能だが、この本はなんと70年代に書かれているのだ。これはもう驚きの一言である。
しかも、氏はその時代に、なんと実費でイギリスくんだりまでカメラテストを受けに行ったり、チャールトン・ヘストンと泥懇になり、「チャック」などと呼んだりしているのだ。
この人の偉さは生前からわかっているような気にすっかりなっていたが、なんの、想像をはるかに超えるクレバーで素敵な人であった。
こんなすばらしい人を失ってしまったとは、今更ながら実に惜しまれるが、せめて氏の遺した書物を読んで楽しもうと思う。


「永遠の夫」 ドストエフスキー 著

永遠の夫 (新潮文庫)

永遠の夫 (新潮文庫)