空飛び猫


アーシュラ・K.ル・グウィン著、村上春樹翻訳による「空飛び猫」を読んだ。
絵本でありながら、野良猫の過酷な生活や親猫との別れをあっさり描いているのが好ましかった。
子供用のべったり甘甘の絵本とは大分違っている。
そもそも、母猫から生まれてきた子猫四匹に翼が生えていたというのが素晴らしいではないか。
母猫は普通の猫なのに、子猫は生まれた場所が育つのに適してないから、そこから飛び立っていけるように翼が生えているのだ。(母親の考えによれば)
でもその翼もオールマイティではなく、空を飛ぶことにかけては鳩や他の鳥たちのほうが一枚上手なので、捕まえようとしてもすぐに逃げられてしまうし、一匹の子猫にいたっては空飛び猫たちの存在に危機感を抱いたフクロウに襲撃され、翼を傷つけられてしまう。
ファンタスティックなアイディアとリアリスティックな観察眼の同居ということが個人的には良かった。

次は「帰ってきた空飛び猫」を読む予定。


空飛び猫 (講談社文庫)

空飛び猫 (講談社文庫)