ENVY (隣のリッチマン)  ★★★☆☆

Ura2005-05-09


監督  バリー・レビンソン
出演  ベン・スティラージャック・ブラックレイチェル・ワイズクリストファー・ウォーケンほか


大親友で、同じ職業で、瓜ふたつの人生を送ってきた二人の男、ティム・ディングマン(スティラー)とニック・ヴァンダーパーク(ブラック)。しかしそんな生活が、ある日ニックの「バカげた一攫千金の発明」が成功したことでがらりと変わった。
フンを跡形もなく消し去るスプレーである新商品「ヴェイプーライザー(Vapoorizer)」によってニックはたちまち大金持ちに。それを傍らで見ていたティムの中に、親友の成功に美しくも恐ろしい嫉妬の炎が燃え上がってしまい・・・。

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主役にベン・スティラージャック・ブラックの組み合わせをもってくるなんて、さぞかしブラック・ユーモアに満ちた、素敵な映画なのだろうと期待していたのだが、配役の妙があまり生かされていない、小さくまとまった作品で終わっているのが残念。
毒舌と巨体を揺らす音楽パワーが売りのブラックが、本作ではどういうわけか「イイ人」に徹してしまっているのが失敗の一因だろうか。
ある日突然「ヴェープライザー」」で億万長者になったにも関わらず、隣に住んでいる親友に山のようにプレゼントをしてみたり、自分の白馬に対して子供のように無邪気な愛情を注いだりと、どんどんマシュマロマンのようになっていくブラックは見ていてあまり面白くない。
一方のスティラーはというと、平凡な脚本の中で精一杯才能を披露している感じ。
特に友人の経済力に対して嫉妬していく場面では、彼特有のヒステリカルな演技がエスカレートしていき、後半はほとんど彼の独断場になっている。
しかも、そんな彼の目の前にやってくるのがなんとクリストファー・ウォーケンなのが最高だ。
次の瞬間どうぶちキレるか分からない凶暴性を秘めたウォーケン温厚な顔と、スティラーのせりふをまくしたてるようなハイパーなパニックぶりが並ぶのがいい。
とはいえ、まあ、脚本の物足りなさがすべてを減殺しているかなあ。
ドタバタ劇が次々とたたみかけるように起こる割には、全体としては大人しい感じがするのは、本当にもったいないことだ。


蛇足だが、この邦題はしかし酷いなあ。
ブルース・ウィリス、マシュー・ペリ−でヒットした「隣のヒットマン」にあやかりたいという気持ちがぷんぷん臭ってきて、げんなりさせられる。