Dr.Tと女たち ★☆☆☆☆

Ura2005-05-30

「Dr. Tと女たち」という映画を観た。
なんていうか、うーん、リチャード・ギア演じるところの主人公Dr. Tは、ブリー(ヘレン・ハント)に出会うまで、そして自分の娘が結婚式でレズの恋人と逃げちゃうのを目撃するまで、幻想の中で生きていたのだなあ。
見たいものだけを選んで見ていれば、不快な気持ちにならずに済むのは事実だ。
特にDr.Tのように精神的に不安定な妻を筆頭とした女たちに、毎日煩わされるような暮らしをしてれば尚のこと。( 何しろ彼は産婦人科医なのだ)
傍から見れば明らかに女たちのカオスの中に身をおいているというのに、当のDr.Tは最初のうち、それほど意に介することもない。それどころか、「女性たちは一人一人がそれぞれ特別なんだ」とのたまうほどだ。
自然、彼は「ビッチ・マグネット」になってしまい、次々とトラブルに巻き込まれることになる。
だからこそ、ある日現れた、風変わりな女性ブリーに彼は惹かれ、やがては彼女とのハッピーエンディングを夢見て、「何もしなくていいから、一緒にいてくれ」と懇願するのだが、彼女には「Why would I want that?」と逆に切り返されてしまう。


一言で言えば、この映画は酷い映画だ。
はっきりしたコンセプトもないし、冒頭から一貫してトラブルの連続、しかもそれに対する解決策もまったく提示されないまま。
最後までこの映画を観るまでなんと二日も要してしまったわけだが、要するにあとで考えれば、Dr.Tが幻想に生きていた人だということなんだろうか。
その点、彼の周りに群がる女たちはまことに逞しく、精神病を患う妻はあっさり離婚を要求してくるし、娘はレズの恋人と逃げるし、Dr.Tに振られた病院の秘書は以前からやりたかったペイストリーシェフになるため病院を辞めてしまう。
ああ、なるほど、要するにこの映画は、女の強さを表現した作品なのか。



因みにこの映画ではレズの娘をケイト・ハドソンが、精神病の母親をゴールディー・ホーンが演じている。その上、レズの恋人はリブ・タイラー
この三人の中では因みに、ゴールディー・ホーンが一番魅力的だった。
精神病で幼児返りのような症状を呈しているため、いつもふわふわしていてかわいらしかった。