サムライブルー、ピッチを去る

日本代表は今朝、予選リーグ最後の試合であるところの対ブラジル戦に臨んだ。
勿論、わたしも眠い目を無理やり開けて四時に起床し、テレビの前に陣取ったわけなのだが、結果は4-1で完敗。
なんだかんだ言いながらも、わたしは信じていたので、この結果は残念だった。
そう、信じていたので。
ブラジルを打ち破る日本代表を、というよりも
彼らの戦う姿勢を。


今回の試合に先立ち、監督であるジーコは初めてメディアにスタメンを明かさなかった。
おそらく、初戦、二戦目と芳しくない結果を残してしまったことで、監督である彼も世間からの見えないプレッシャーをひしひしと感じた結果だったのだろうと思う。
その結果、今回の2トップは玉田と巻。
中盤はボランチに稲本が入り、警告累積で出場停止となった宮本のかわりには坪井が入った。


前半はブラジルに押し込まれながらも、高く保った守備での集中力と、GK川口の信じられないようなパフォーマンスで何とかブラジルの攻撃を食い止め、隙を見ては日本も攻撃を仕掛けるという展開だった。
当然、日本としてはブラジルに攻められる時間が長かったわけだが、そこは何とか、前線からのプレスに始まり、中盤の囲い込み、守備ラインでのマンマークということで凌ぎ続け、34分には稲本が左サイドの出したパスをアレックスがうまい具合に切り込み、そこを玉田にスルーパス。パスを受けた玉田が思い切り良く左足で降りぬいたボールがゴールネットに突き刺さって、日本が先制した。
決勝トーナメントに進出するためには、ブラジル相手に二点差で勝たなければなかったが、この先制点は、そんな行く末に対する吉兆のように思えた。
しかしだ。
前半ロスタイム。ブラジルはついに日本の守備をこじ開け、ロナウドがヘッドでゴールを決めた。


後半は、前半の日本の集中力が嘘のような、一方的なブラジル主導権の展開となり、その後は結局三失点してしまった。
おそらく、失点してしまったのは仕方ないというしかない面もあったのだろうと思う。
どう考えても、あのジュニーニョミドルシュートは防ぎようが無かった。
でもそのあとのロナウドの得点とジルベルトの得点は!?
マークのずれと微妙なポジショニングミスが重なっての失点だったのじゃないだろうか。
もっとありていに言えば、ブラジルが二点目を得点した時に、明らかに戦意を喪失した選手が何人かいたのじゃないだろうか。
なぜ、ロナウドのシュートを防ぐために、ボランチの中田がゴール前までスライディングに来ているのに、守備陣は手をこまねいて突っ立っているだけだったのか。
戦う意志を表に出すということは、それほど難しいことなのだろうか。


もしも、日本代表の全員が川口や中田を筆頭とするような戦う姿勢を出していたならば。
もしも技術の足りない部分を走り負けないという決意と勝ち点をもぎ取るという意志で補っていたならば、試合後に中田が長い間ピッチに倒れていることも、試合を観終わったあとに白々しいような気分になることもなかったろうと思う。
川渕キャプテンも試合後に言っていたように、「このチームは戦うチームでなかった」のかな、と思い当たるとことが、今回のW杯ではあまりにも多すぎた。
そのことを鑑みると、ブラジル相手に一点を取ったことよりも、どうも今後に関しても、メンタル面の脆さという課題ばかりが問題のように思えるのだ。
勿論、ブラジル代表が日本代表と比べると、あまりにも個人レベルでの能力があまりに高いということを考慮に入れるとしてもだ。それはオーストラリア戦、クロアチア戦で勝ちきれなかったことを考えれば自明だ。


そして最後に、これはあまり試合とも選手のこととも関係ないが、メディアの対応というのも、もう少し考えられてしかるべきだと思う。
試合後、全力を尽くして敗北し、打ちのめされている選手に向かって、具体的な質問も用意せずに、場当たり的に適当な答えを得ようとしていたメディアには、はっきり言って辟易した。
それでも何人かの選手たちは疲労のピークだろうに、誠実に答えていたが、ああいう態度は許されるべきじゃないし、もっと時間を置いてからインタビューはされるべきだ。
今後、こういう風にメディアが日本のサッカーの足を引っ張るような行動にばかり出るならば、日本サッカー連盟はそのことについて真剣に健闘すべきである。
メディアというものは、代表チームの力になりこそすれ、決して足かせになるような存在であるべきではない。


まあ、なにしろ、選手の皆さんご苦労さまでした。
今は束の間の休息を得て、体を休めてください。
終ったことは終ったこととして、否が応でも時間は流れていくので、先のことはおいおい考えるとして、今はとりあえず束の間の休息を。