「シンシティ」、「スパングリッシュ」

Ura2006-07-14


W杯も終ったことだし、ベガルタヴェルディ戦で負けて気分が落ち込み気味なので、
というわけでもないのだが、久しぶりに家でDVD鑑賞。
観たのは、今更なのだが、ロバート・ロドリゲス監督「SIN CITY」、アダム・サンドラー出演の「スパングリッシュ」。
前作は良くも悪くもアメコミ全開という感じの作品で、独特の美学というか審美眼が前面に出た映画だった。
白黒で撮影してあるところや、それなのに目だけが青かったり、血だけが赤、あるいは白かったりするのが、月並みではあるにしても、アメコミらしさを表現していて良かったように思う。
それにしても、
やっぱり良かったのは、ジェシカ・アルバ
彼女が演じるのは、幼い頃に変態ロリコン男に誘拐乱暴されそうになったところを、老刑事であるブルース・ウィリスに助けられるのだが、その後、長じてストリッパー?になる美少女という役どころである。
ステージ上でブラトップにジーンズ、そしてカウボーイハットといういでたちでバーダンスする彼女はほんとうにかわいらしい。
くちびる、ぷりぷり。
すごく若いのに健康的な色気に満ちていて、それなのにどこかイノセンスを感じさせる。
老いて人生に失望しつつも、彼女の手紙だけを頼りに牢獄で生き延びたブルース・ウィリス演じる刑事の気持ちもよくわかるというものだ。


それにしても、この作品では、女性がいやに強くて、観ていて何度も「アマゾネス・・・」とつぶやきそうになった。
おそらく原作者でロバート・ロドリゲスと共同監督もしているフランク・ミラーは、ヘルムート・ニュートンなどと同様に、ビッグ・ガール好きなのだろうな、と思った。
あとは、強い女にいいようにされるクライブ・オーウェンが良かった。
彼は相変わらず、何を演じさせてもうまい。うまいのだが、うまいと感じさせないのが更に良い。

ま、なににしても、ジェシカ・アルバがかわいかった。


それから、デヴォン・アオキが日本刀を振り回す殺人マシーン、ミホという役どころを演じているのだが、彼女が男たちをばったばったと斬りまくる場面を、おそらく時代劇映画マニアのタランティーノがゲスト監督として撮影している。
さすがタランティーノが撮っているだけあって、これでもかというくらい手が飛ぶ、足が飛ぶ。そのたびに場面は血がぴゅーぴゅー噴出し、「キル・ビル」を遥かにしのぐ血の量だった。
多分、この映画でタランティーノがゲスト監督をしているということを知らなくても、あの場面を見ればすぐそれとわかるような、しつこいまでの血の雨。
しかし、殺人マシーン演じるデヴォン・アオキは素晴らしいマシーンぶりを発揮していた。
まさかあの子がシャネルのミューズとは、お釈迦様でも思うまい。




スパングリッシュ」は、幼い娘と共にアメリカにやって来たメキシコ人女性の話なのだが、ラティーナである彼女が徐々に言葉や文化的バリアーを越えていくのを微笑ましい思いで観られる、ハートウォーミングな映画だった。
このメキシコ人女性フロールは、白人家庭でお手伝いさんをやることになり、そこの主人がなんとわたしのだいすきなアダム・サンドラーなのだが、彼は普段とまるで違う役どころに挑戦?している。
普段のサンドラーといえば、大体心優しいけれど、30代にもなって大人になりきれないモラトリアム男を演じるのが定番だが、今回はなんと二人の子供のお父さん。
しかも、仕事はLAのレストランでトップのオーナーシェフという、オトナもオトナの役どころである。
この彼が後にフロールと恋に落ちるのだが、その様子がなんともかわいらしい。
彼の妻がいかにもアメリカ女らしい、筋肉もりもりでヒステリック、そして綺麗なのだが、その綺麗さに取り付かれているという身体性あふれる人物なのだ。
この妻像が面白いくらい、フロールという、まさに女性を具現化したような人物と好対照をしているので、観ていて面白かった。
そして思ったのは、
やっぱりラティーナのコケティッシュさにはかなわないよな、ということだ。
フロール演じる女優は若き日のペネロペ・クルスに酷似していて、ほんとうにかわいらしいのだが、姿かたちの美しさよりも、その振る舞い、その仕草がいちいちコケティッシュなのだ。
女性の地位を追求することに慣れきった西洋の女性が忘れてしまった、まろやかさ、そしてしなやかな強さというものが魅力的だった。
ああいうラティーナのかわいらしさは、常に見習わねば。
精神的には西洋女性的な強さを得るにしても。
と今更ながら思った。


と、そんなわけで今回はどちらも、女性のかわいらしさを満喫した映画だった。
でもそんなことを抜きにしても、両方とも単純に気楽に楽しめる作品でもあった。


スパングリッシュ [DVD]

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