大柴克友選手、現役引退のお知らせ

昨年末にベガルタ仙台から戦力外通知を受けた大柴が現役引退したことがベガルタの公式HPで発表された。
大柴は能力が高いというだけでなく、プロ意識の塊のような選手で、かつては萬代やシュウェンクなんかが練習中たっぷり絞られ、ピッチ上で怒鳴られることもしばしばだった。

しかしそれというのも、(シュウェンクの場合は)セットプレーの練習中、FWだからとぼさっとしていたりしているのを再三大柴に見られたからだ。
しかもそんな時大柴は、相手がどれほど日本語を解しているのかなど、まったく意に介さない様子で、「さぼんなよ!お前もちゃんとやれ!」と、ものすごい剣幕でシュウェンクに詰め寄り、怒鳴っていた。
おそらく何を言われているのかよくわからなかったであろうシュウェンクは、通訳の木村くんのほうを不安な顔で見、「なにをこんなに怒っているのだ?」と、おどおどした様子をしていた。
その時の様子を間近に見るにつけ、わたしは大柴の偉大さを垣間見たような気がしたものだ。
「ノーと言えない日本人」からは、はるかに程遠い大柴である。
そして、彼の偉大さは、練習中決して手を抜かないということだけには留まらず、試合中の奮闘ぶりにもあらわれていた。
まさにプレーでチームを引っ張るリーダー。
FWでありながら、最終ラインまで戻っていって守備をする姿に、何度心打たれたことだろう。

しかし、一昨年の怪我である。
この怪我は結局、後々まで尾を引くこととなり、最終的には手術に踏み切った。
このため、去年は長い間試合に出ることも出来ず、長い間我慢するシーズンとなってしまった。
それでも、彼が復帰した試合では、スタジアム全体が大柴コールに揺れ、彼がいかに愛されているかということを改めて実感したものだった。

わたし個人としても、大柴は最後までチームに残っていて欲しい選手の一人だったので、チームを去ったことは勿論、現役引退とはほんとうに残念なニュースである。

しかし、大柴ほどの選手ならば、今度はプロコーチとして与えられた場で、最高の結果を出してくれるに違いない。
新天地でのご活躍をお祈りしています。
今までありがとうございました。