すきな人

大学生の頃の同級生たちと久しぶりに集まった。
今は遠方に住む親友は地元から友人を、わたしは妹を連れ、それ以外にも仲良しの人ばかりが来て、なんと総勢9人で近所のインドカレー屋に行った。
卒業以来、一度も会ってなかったある友人は、その頃から比べるとなんと25キロも痩せていて、待ち合わせ場所で声をかけられてもにわかにその人とは思い浮かばなかったほどだ。
しかし、当時は格闘技に明け暮れていた彼が社会人になって痩せてはいても、それ以外の点では何も変わっていなかったのが微笑ましい。未だに異様に惚れっぽいらしいことも。

カレーを食べたあとは、大学の頃によく行ったバーへと向かう。
集まった友人たちの中に、あと数時間で誕生日を迎える人がいたので、迷わずモエのボトルを頼んだ。


大学の頃もそうだったのだが、未だに長く一緒に居れば居るほど別れ難くなる人たちだった。
実際、学生の頃は、お互いの家から家が徒歩3分という距離の場所に住んでいたので(殆ど全員が大学の周囲に住んでいた)、真夜中に誰かの家に集まってファッションショーをしたり、フルメイクを施して遊んだり、それを別の友人の家までみんなで見せにおしかけたりと、全く時間を無視した生活をしていた。
そういうことをせきがきったように一気に思い出して、でもそれは全然ノスタルジックな感じではなく、何年も会ってなかったのに、ちょっと会っただけで会わなかった時間が消滅してしまったような、奇妙な時間の継続性のようなものがあった。

いちばん嬉しかったのは、親友にすきな人が出来たことを報告されたことだ。
親友が地元から連れてきた友人かと思われた人が実はすきな人だった、とわかったときの嬉しさと言ったら。