超恋愛論  吉本隆明著

Ura2004-09-14



吉本隆明恋愛論
リュウメイ」と「恋愛」というギャップに惹かれて買ってしまった。
巷に垂れ流しになっているような、その辺の恋愛論みたいなことがつらつら書いてあるとはまさか思わなかったが、やっぱり、その中心は文学のことだった。
中でも日本文学に多く見られる男女の三角関係が日本の「後進性」によるものだとは、まさか考えても見なかったので、目から鱗
なるほど、この三角関係の場合には、三角形の頂点にいる女性とよりも、男性同士の横のつながりの方がよっぽど深いのだなあ。ちなみに例に引いていたのは、三角関係ばかり書いていた漱石の小説。
日本においては、「言えない」ことが存在するということがネックになって、のっぴきならない事態になってしまうということらしい。
その辺のところが、たとえばトリュフォーの「突然炎のごとく」におけるジュールとジルなんかの関係性とは違うよなあ。
なるほど、なるほど。



自分があまりいわゆる日本的なものの考え方をしないせいなのか、著者とは何世代も離れていると言う隔たりのせいなのか、現実的な恋愛に関する箇所ではすべてにおいて納得と言うわけには行かないが、この年代の人がフェミニズム的観点からして、かなり進んだ考え方をしているのには
毎度のことながら驚かされる。
日本が世界に誇る思想家なんだから当たり前だけど、かなりまっとうな人だよなあ。
いつも思うけれど、こういう人がいる限り、日本もそう捨てたもんじゃないよな、と思って止まない。