読了した本

Ura2004-11-16



「東京するめクラブ 地球のはぐれ方」  村上春樹吉本由美都築響一

ちょっと前に「魔都名古屋に挑む」篇については書いたが、全篇を読んだ今行きたいのも、やっぱり名古屋。
しかし過去に村上氏がエッセイにて高松の讃岐うどん食い旅行について書いたところ、その後讃岐うどんの人気はうなぎ昇りに昇り、ふと気づくと都内にもうどんの店が立ち並ぶようになってしまったばかりか、うどんを食べるためだけに高松くんだり出掛ける人が続出してしまったのだ。
そういうことを考えると、名古屋に行くのはしばらく控えたほうが身のためという気がする。
どうか、この名古屋ブーム(まだ起こってないけど)がしゃちほこ丼や名古屋のモーニング文化をスポイルしませんように。

    • -


「ベロニカは死ぬことにした」 パオロ・コエーリョ著

どうやら世界中で何百万部も売れたベストセラー小説らしいが、正直なところ、何が面白いのかさっぱりわからなかった。
わたしは少女だったことがあるので、ソフィア・コッポラが「ヴァージン・スイサイズ」でかつてないほど上手に(上手にという言葉は適当じゃないけど)描いた少女のナルシシズムもヒロイズムも倦怠感も閉塞感も知っており、この小説中の主人公ベロニカの気持ちの変化もわからないではないが、物語の展開はそれほどドラマティックでもオリジナルでもなく、物語のラストにあるどんでん返しもそれほど効果的には描かれてないように思う(装置自体は面白いんだけど)。
でもあるいは翻訳がまずいだけなのかなあと言う気もしないでもない。
翻訳小説(という言葉がまだ死語じゃないとすれば)の出来は多くの場合、翻訳に多くを負っているわけだし、翻訳がまずいからと言って原文もまずいとは限らないものね。
とりあえず、同小説家のほかの本をそのうち読むかも。読まないかも。

    • -


「セーラー服とエッフェル塔」  鹿島 茂著

フランス文学者の著者がセーラー服、あるいはエッフェル塔を売った人物の話などを書いたエッセイ集。
作者がテーマに対する仮説を立ててはそれを立て直したり、捨てたりしていくくだりが面白い。
仮説を立てるという行為はつまり、評論と言うことに等しいのだなあと思わされた。
毎度のことだが、この人が興味を持つ類のことはかなり高尚なことから下世話で卑近なことまで幅広いので、読んでいて楽しめる。
今回もSMにおける亀甲縛りの成り立ちについて真剣に仮説を立てている作者の姿を想像すると、それだけで結構笑える。

    • -


「若かった日々」 レベッカ・ブラウン

これに関してはまだ読んだばかりなので、とりあえず保留。
本書もまた家族に関する短編集で、翻訳者の柴田氏によると自伝的色合いが濃いらしいが、それを頭に入れて小説を読む必要はまったくないなあ。
個人的には「体の贈り物」のほうがすきだった。作品としてもこっちのほうが完成度が高いと思う。
それはやっぱり、自分や家族のことになると、人は必要以上に感情を持ち込んでしまうから?
それともそんなことを思うことが、小説という芸術形式に対する侮辱であり懐疑だろうか?

    • -

えーと、あとはなに読んだっけ?