東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン
リリー・フランキーの「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン」という小説を読んだ。
わたしにはこの人の魅力というものが、これまではいまいちわからなかったのだが、なるほど、この小説を読んでその魅力を垣間見たような気がしないでもない。
小説自体は語り口も拙いし、構成もぎくしゃくしている。
なによりも、へたくそという感じがしてならない。
でも腹の底から出てこずにはいられなかった物語だということは、しっかり伝わってくるのだ。
この本は因みに、主人公の「ボク」と母親の物語である。
「ボク」がやりたいことをやりたいままに生きてきた影には、常に母親の汗と信念があったのだと、そういう話だ。
誰にでも母親が死ぬ日というのはやって来る。
自分が先に死なない限りは、必ずやって来ることになっている。
リリー・フランキーの言を借りれば、それは「宇宙人が来襲するよりも恐ろしい日」なのだ。
この本はその恐ろしい日までの素晴らしい日々の物語。
- 作者: リリー・フランキー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/06/28
- メディア: 単行本
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