女性の性格を分析すると!?

「ハッピー8」   名越康文
しばらく前に名越氏が出した「キャラッ8」という本を下敷きにしたような本。
本書があたらしいのは、主人公8人の人格がそれぞれ全員女性であることと、ドラマしたての内容になっていることだろうか。
説明される人格のタイプとしては、前作「キャラッ8」となんら変わらないのだが、ドラマ仕立にしてあるので、物語の流れの中で、それぞれの人格があらゆる選択肢を選んでいく様を見られるのはわかりやすい、というか、面白い。
とは言え、全体的には殆ど同じ内容だし、主人公を女性と限定したことによって、イメージもまた限定されたような感がある。
しかも、イラストは前作のほうが圧倒的にかわいくて高感度が高かった。

ハッピー8(エイト)―性格診断×ドラマ

ハッピー8(エイト)―性格診断×ドラマ

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「そろそろくる」   中島たい子著
「漢方小説」が面白かったので、同小説家の作品をもう一作読む気になって購入した本書。
「漢方小説」でもそうだったのだが、女性としてそろそろとうが立ち始め(つまり30歳台にさしかかろうという時期だ)、仕事や恋愛に関して行き詰りかけたという時期の女性を主人公にしている。
前作と共通するのは、主人公が体調をコントロール出来ないという風になることだ。
「漢方小説」ではタイトル通り、漢方を使って体調を戻そうとするのだが、本作では身体的な問題はPMSという、いかにも女性特有のものとなっており、それとどうやって折り合いをつけながら、人生と取り組んでいくかということが描かれている。
同じく女性であるわたしが読んでいても、本書に出てくる主人公の女性は、30歳にはどうも見えず、どちらかというと女性ホルモンにしてやられるがままになってしまう20歳前後にしか見えないのが、30歳になってもこういう人はたくさんいるのかもなあ、と思うと、なんだか女性という性のあさましさというか、業のようなものを見せ付けられてげんなりしてしまう。
それもこれも、わたしがもともと(自分の)女性性を重要視していないからなのか、それともたまたま周囲にこういう人がいないだけで、本当はこういう風に悩んでいる女性がたくさんいるのか、それはわからない。多分この先も永遠にわからないだろうと思う。

とは言え、ユーモアと自虐的な軽い語り口で描いていく本書は魅力的で面白かった。
おそらく、この中島たい子という作家は、これからも女性の内面と身体性の折り合いのつけ方を描いていくのかな、という気がする。
彼女の行方はこれからも遠巻きに見守りたいものだ。

そろそろくる

そろそろくる