シチリアの塩

昨日から家族中が出かけているので、家に犬とふたり、仲良く留守番していたのだが、こういうときに困るのはなんたって食べるものだ。
というのは、一人だと全然料理なんかする気が起こらないということで、一人ならわざわざ料理なんかするよりも、プレッツェルでも食べたほうがいいのじゃないか、という気がするのである。(プレッツェルと言ってもポッキーではない。念のため)
しかも家には、わたしが旅行中にどっかから湧いて出たのか、それとも家族の誰かが購入したのかわからないが、ミキサーというすばらしい文明の利器があるので、朝からバナナスムージーなんぞを作っちゃったりして、結構最後の暑気を満喫、という感じだったのだ。


そんなわけで、ますます料理なんかする気は起こらない、と思っていたのだが、夜九時頃、いざ犬の散歩から帰ってきてみると、なんとなく小腹が空いたような気もしないでもない。
その上、途中までTV観戦していた山形VS札幌戦が引き分けだった腹いせという理由なんぞもあって、なんとなく料理をすることにしてみた。


そんなわけで作ったのがジャコチャーハンである。
まあ、なんのことはない、ごま油でジャコとねぎをしんなりするまで炒めて、それを別の皿によけておき、その間、再び熱したフライパンで卵とご飯を一緒に炒め、ご飯の米粒それぞれが卵にコーティングされる一瞬間前ほどに先ほどのジャコねぎを一緒くたに炒めるというだけのものである。
でもこれが恐ろしくうまかった。
それはなぜかというと、シチリアで買った塩のせいである。





今回、トラパニというイタリア最西端の町に行ってきたのだが、ここが塩田で有名なのである。
事前にメッシーナに住む人のブログで、
シチリアではどのスーパーにもシチリアの塩が売ってあるが、トラパニの塩田で買った塩はやはり違った。うまかった」
というような情報を得ていたので、これは是非買わねばなるまいと思い、
妹の知り合いのシチリア人が「トラパニなんか田舎だ。何もない。行っても時間の無駄だ」というのも無視して行って来たのだ。無論、塩を買うためだけに(というのは嘘)。

でも最西端の町くんだりまで塩を買いに行った甲斐があって、このチャーハンは異様に美味しかった。
チャーハンを作る前から気づいていたのだが、この買ってきた塩はかつて食べたことがないほど、甘いのである。
塩なのに甘い。
つまり、塩化ナトリウム的ないがいがした辛味ではないのである。
さすが地中海の水を濾過しただけあって、ミネラルたっぷり。塩分という以前に、色々な味がごたまぜになっていて、なんということのないチャーハンにまでしっかり旨みを加えてくれるのである。
こんなものを使って毎日ご飯を食べてたら、そりゃ太るよなあ、と、シチリアの人々のまるっこい体つきを思い出して、つい一人ごちてしまった。

そんなわけで、是非どこかでシチリアの塩を見かけた暁には、どうか一度是非とも試してみてください。