悪夢探偵

Ura2007-02-16


塚本晋也監督「悪夢探偵」を観てきた。
トラウマを抱える悪夢探偵は、松田龍平主演ということも手伝って、アメリカの「スパイダーマン」や「バットマン」のようなダークヒーローになる素養たっぷりだが、本作に関しては、あまりにも多くの人の多すぎるトラウマが出てきて、ちょっと雑な印象が残った。
エンディングも塚本作品にしては、あまりにも月並みなので、ややがっかり。
もっとも、塚本作品ということでこちらの期待が大きすぎるというのも事実なのだが。

それにしても、塚本晋也が自ら演じる殺人鬼の不気味さには、毎度のことではあるが、背筋が凍るような気持ち悪さを感じた。
この人が醸し出す恐ろしさというのは、次の瞬間に何が起こるかわからないという、人間の感情の大元のところにある恐怖感だ。
あの、のっぺりした顔や、取り立てて大きいわけでもない体格やなんか、すべてを超越した存在感が、こちらを、お尻をもぞもぞさせたくなるほどの不安感に突き落とすのだ。
こういう役はほんと、この人にしか出来ないと思う。

ちなみにhitomiを、というか、動いているhitomi自体をはじめて見たのだが、割合によかった。
キャリアでありながら、出世街道を突き進むという道を自ら捨てて現場に出向、という役どころはさすがに無理があるが、自らの内に謎を隠しているという雰囲気は出ていたのじゃないかと思う。


こうしていろいろ考えてみると、この作品はやっぱりシリーズ化したら面白いのじゃないかと思う。
塚本監督初?の娯楽性の強い作品という意味でも要注目しておいたらいいのじゃないか。


監督・脚本・撮影・編集:塚本晋也
プロデュース:牛山拓
プロデューサー:塚本晋也、川原伸一、武部由実子
企画・制作プロダクション:海獣シアター

■キャスト■
松田龍平(影沼京一/悪夢探偵
hitomi(霧島慶子/女刑事)
安藤政信(若宮刑事)
大杉 漣